「感謝」—— 幸せを引き寄せる力
感謝の強みとは、自分が持っているものや与えられたものに気づき、それを素直に受け入れ、表現できる力のことです。この強みを持つ人は、日常の小さな幸せや、人との関わりの中で受けた好意を大切にする傾向があります。
ポジティブ心理学では、感謝がウェルビーイングを高める重要な要素であることが示されています。
1. 感謝の強みが人生に与える影響
① 幸福感を高める
感謝は、「今ここ」にある幸せに気づく力です。希望が「未来の良いこと」を見つけるのに対し、感謝は「今良いこと」に目を向けるものです。研究によると、感謝を意識的に持つことで、幸福度が上昇し、ネガティビティ・バイアス(ネガティブなものに目がいく傾向)が軽減されることがわかっています。
②心理の健康を支える
感謝の習慣を持つことで、ストレスや不安が減り、うつ症状の予防にもつながります。2005年のペンシルベニア大学の研究(セリグマン博士)では、毎日「3つの良いこと」を書き出す習慣を続けた人々が、6か月後も幸福感の向上を維持し、うつ症状のスコアが低下したという結果が報告されています。
③身体的・社会的健康も向上する
感謝を持つことで、免疫力が向上し、循環器系の健康が促進されることがわかっています。また、感謝を表現することで人間関係が乗り越える気持ち、他者との絆が強いことも研究で示されています。
2. 感謝の強みを高める方法
①感謝に気づく習慣をつくる
感謝の強みを伸ばす第一歩は、「すでにあるもの」に目を向けることです。これは意識選択であり、習慣化することでより自然に感謝の感覚が育ちます。
実践方法:
- 「3つの良いこと(3Good Things)」を書く
毎晩、その日にあった良いことを3つ考えて、「なぜそれが起こったのか」まで考えてみる。 - 感謝リストを作る
人・出来事・環境など、自分が感謝できるものをリストアップする。
②感謝の気持ちを表現する
感謝は、感じるだけでなく表現することで、より大きな影響を生みます。 特に、相手に伝わる形で感謝を示すことが大切です。
実践方法:
- 「愛の言語」を意識する
相手がどのように感謝を受け止めて嬉しいのかを考え、言葉・行動・プレゼントなど適した方法で伝えます。 - 感謝の手紙を書く
感謝している人に手紙を書いて、実際に会って読んでみましょう。
③ 逆境の中でも感謝を見つける
困難な状況では、辛いものや足りないものにばかり目が向きがちです。
実践方法:
- 困難な状況の中で感謝できることをリストアップする
例、人間関係のトラブルの中でも、相手がしてくれた小さな良いことに目を向ける。 - 人生の中で成長や学びを得た続いた経験に感謝する
どんな状況の中でも、自分が得たものに目を向ける。
3. 感謝の「受け取り方」を知る
感謝を持つだけでなく、他者からの感謝を正しく受け止めることも重要です。 多くの人は、感謝を受け取るのが苦手で、次のような反応をしてしまうことがあります。
感謝を受け取る際のNGパターン
- 回避(照れて反応しない)
- 拒絶(「当然のことです」と流す)
- 交換(「私のほうこそありがとう」とすぐ返します)
- 割引(「たいしたことではない」と過小評価する)
感謝の受け取り方のベストプラクティス
5.受容:「どういたしまして」と素直に受け取ります。
6.増強:「あなたの気持ちを共有してくれて嬉しい」と感謝を深く味わう
6.進展:「どういたしまして、ところでどんなことが役に立った?」と尋ねてみる。より関係性が深まる。
感謝を受け取ることができるようなると、自己肯定感が高まり、人間関係もより良いものになります。
4. 感謝の強みのバランス
①感謝が発揮できていない時
- 心理的な余裕がないと、良いことに気づきにくい。
- ネガティビティ・バイアスの影響で、ないものばかりに注目してしまう。
- 一番大切な人たち(家族・友人・パートナー)に対して、感謝を忘れがちになる。
→解決策:感謝の習慣をつくることで、意識的に視野を広げる。
②感謝を使いすぎる時
- 「感謝しすぎる」ことで、現実を直視できなくなることがある。
- 例、良くない人間関係や環境に対しても「ありがたい」と思いすぎて、必要な変化を起こせなくなる。
→解決策:感謝しつつも、現状を冷静に分析し、必要な行動をとる。
5. あなたの中の感謝の強みを活かすには?
- 最近「感謝していること」は何ですか?
- あなたの人生の中で、感謝が役に立った経験はありますか?
- 感謝の強みをさらに伸ばすために、今日からできることは?
感謝の強みは、日々の実践で育てることができます。小さな感謝を大切にし、それを伝え、受け止めたことを意識することで、より充実した人生を無事に歩んでいきましょう。
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