誠実さとは? 〜ありのままで生きる強さ〜
「誠実さ」という言葉を聞いて、あなたはどんな人物を思い浮かべますか?
性格の強みにおける「誠実さ」とは、単に嘘をつかないという意味にとどまりません。
本当の意味での誠実さとは、自分の内面に正直に向き合い、それを言動に一致させる力です。
この強みを持つ人は、以下のような特徴を備えています。
- 嘘をつかず、真実を語る
- 自分の価値観に基づいて行動する
- 自分の弱点も強みも隠さずに受け入れる
- 欲しているものに素直でいられる(例:もっと豊かになりたいと望むことを正直に言える)
こうした姿勢は、自分を偽らない「自己一致」の在り方そのもの。心理学者カール・ロジャーズが提唱した「自己一致(congruence)」の概念とも深く関わります。
誠実さの強みが人生に与える影響
1. 信頼関係の土台になる
誠実な言動は、他者からの信頼を築くうえで最も重要な要素のひとつです。
とくに親密な人間関係においては、「この人は本音で話してくれている」という安心感が、深い信頼を育みます。
信頼があるからこそ、健全で率直なコミュニケーションが生まれ、関係性も豊かになります。
オンラインコミュニティやチームでも、先に誠実に自己開示する人がいると、周囲も安心して本音を語れる雰囲気が生まれ、心理的安全性が高まります。
2. 人生の方向性が明確になる
自分の内面と一致しているため、「何に価値を感じ、どんな人生を歩みたいのか」が自然と明確になっていきます。
誠実な人は、人のせいにせず、自分の人生に責任を持ちやすい傾向があります。失敗した時にも素直に謝り、そこから学び、次に活かす力があります。
結果として、「人生を自分の手で舵取りしている」という感覚が生まれ、主体的で豊かな生き方へとつながっていくのです。
誠実さが発揮できていないときに起こること
誠実さの強みは、常に自然と発揮されるわけではありません。以下のような状態にあるとき、誠実さが十分に活かされていないかもしれません。
- 思っていることと、口にしていることが一致していない
- 相手に気を使いすぎて、本音を隠してしまう
- 自分の失敗や非を認めたくなくて、正当化してしまう
- 自分をよく見せたくて、誇張したり虚勢を張る
こうした状態が続くと、人との関わりで極端に疲れてしまったり、自分自身に不信感を抱いてしまうこともあります。
誠実さを使いすぎているときに気をつけたいこと
どんな強みにも「使いすぎ」は存在します。誠実さも例外ではありません。
- 真実を伝えすぎて相手を傷つける
- 相手がまだ受け止める準備ができていないことを、包み隠さずに伝えてしまう
- 誠実であろうとするあまり、人の秘密をうっかり他人に話してしまう
- 自分の深い部分まで無防備にシェアし、逆に傷つく
誠実さは「誰に」「どれくらい」見せるのかがとても大切です。
誰に対しても100%の誠実さを発揮するのではなく、「この人には自分をどれだけ開示するのが適切か」を見極めることが、心の安全を守ることにもつながります。
誠実さを育てる具体的な方法
1. 自分に正直に生きてみる
- 思っていることをそのまま言う
- 思っていないことは言わない
- 言ったことは行動で示す
- 自分の欲求や不快な気持ちを正直に認める
まずは、身近な人との日常会話で少しずつ試してみましょう。自分を隠さない練習は、誠実さを自然と育てていきます。
2. 真実を伝える相手を選ぶ
誠実であることは大切ですが、それをどんな相手に、どのような言葉で伝えるかも重要です。
たとえば、相手の幸せにつながるようなこと、自分の大切な気持ちなどは、信頼できる相手にだけ話すようにしましょう。
「誠実である=誰にでもすべてをさらけ出す」ではないことを、心に留めておくことが大切です。
3. チームや職場で自分の意見を伝える
感情やニーズ、アイデアなどを率直に伝えることで、誠実さは社会的な強みとして機能します。
ただしその際も、言葉の選び方やタイミングに注意し、相手の受け取りやすい形で伝える配慮が必要です(社会的知性や親切心とのかけ合わせ)。
誠実さのバランスを取るために意識したいこと
- 心理的安全性の高い環境を整える(信頼できる人と過ごす、無理に自己開示しない)
- 自分のエネルギーを満たしておく(疲れていると誠実さを発揮しにくい)
- 他の強み(親切さ、寛容さ、社会的知性)をかけ合わせて、適切に伝える工夫をする
「誠実であること」は、他者を攻撃する理由にも、自分を追い詰める理由にもなってはいけません。
誠実さを活かすには、“正直さ”だけでなく、感謝や敬意を持ち合わせることが必要なのです。
誠実さの強みとあなたの人生
この記事を読んで、「自分は誠実に生きているだろうか?」と感じた方もいるかもしれません。
「誠実さ」は、生きる姿勢そのものに深く関わる強みです。
ネガティブな場面で使えていないことに気づいたり、使いすぎていたことに反省したり…。
そんな体験も含めて、あなたのライフストーリーと誠実さを照らし合わせてみてください。
誠実さのモットー
「自分にも人にも誠実である」
思っていることと、言っていること、行動していることが一致している状態を目指します。
相手が受け取りやすいかたちで、思いやりをもって伝えること。
それが、誠実さの強みを“生きやすさ”へとつなげる鍵です。
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